簿記の基本(16)仕訳伝票②
振替伝票に続いて,今回は入金伝票と出金伝票について説明していきます。
1 入金伝票
入金伝票(にゅうきんでんぴょう)は現金の入金に特化した伝票です。入金伝票を起票した取引については直接,総勘定元帳へ転記できますので,振替伝票を起票する必要はありません。
入金伝票には勘定科目を書く欄が一か所しかありません。入金伝票の入金とは「現金」の入金を指しますので,その場合の仕訳では,借方が必ず現金となります。そのため借方の記載を省略しているわけです。よってこの伝票に書く勘定科目は貸方のみということになります。
(例1)売掛金を現金で回収した取引
入金伝票 No.
年 月 日
勘定科目 摘 要 金額
売掛金 ××商店×月分入金 150,000
計 150,000
この例を仕訳で表すと次のとおりです。入金伝票ですので,借方は必ず現金となり,伝票に記載してある勘定科目欄の売掛金は貸方の科目ということになります。
(借)現金 150,000 (貸)売掛金 150,000
(例2)現金販売の取引
入金伝票 No.
年 月 日
勘定科目 摘 要 金額
売上 商品×× 4点 22,000
計 22,000
こちらも勘定科目欄の売上は貸方のことで,借方の現金が省略されています。
この例を仕訳で表すと次のとおりです。
(借)現金 22,000 (貸)売上 22,000
2 出金伝票
入金伝票がわかれば出金伝票(しゅっきんでんぴょう)の仕組みを想像することは難しくないでしょう。出金伝票は現金の支払いに特化した伝票です。出金伝票を起票した取引については直接,総勘定元帳へ転記できますので,振替伝票を起票する必要はありません。
こちらも勘定科目を書く欄が一か所しかありません。出金伝票の出金とは「現金」の出金を指しますので,この場合の仕訳では,貸方が必ず現金となります。そのため貸方の記載を省略しています。よってこの伝票に書く勘定科目は借方のみということになります。
(例1)買掛金を現金で支払った取引
出金伝票 No.
年 月 日
勘定科目 摘 要 金額
買掛金 ××商店×月分支払い 90,000
計 90,000
この例を仕訳で表すと次のとおりです。出金伝票ですので,貸方は必ず現金となり,伝票の勘定科目欄の買掛金は借方の科目になります。
(借)買掛金 90,000 (貸)現金 90,000
(例2)経費の支払いを現金で行った取引
出金伝票 No.
年 月 日
勘定科目 摘 要 金額
旅費交通費 タクシー代 1,500
計 1,500
こちらも勘定科目欄の旅費交通費は借方のことで,貸方の現金が省略されています。
この例を仕訳で表すと次のとおりです。
(借)旅費交通費 1,500 (貸)現金 1,500