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簿記や経理の基礎のおはなし

簿記の基本(18)T字勘定①

メインの会計帳簿である総勘定元帳を簡略化したT字勘定について説明します。

1 T字勘定

T字勘定(てぃーじかんじょう)とは,総勘定元帳(そうかんじょうもとちょう)を簡略化したもので,アルファベットのTの字に形が似ているため,こう呼ばれます。
実際の帳簿とはやや形式が異なりますが,簿記学習においては,このT字勘定の方が簡単なので,よく使われています。

2 T字勘定の書き方

(a)まずはじめに大きなTの字型の線を引きます。これが一つの勘定科目の帳簿になります。その上の中央あたりに勘定科目の名称を書きます。(図A)
T字型の中央の縦線の左側が借方,右側が貸方です。
(b)期首の残高を記入します。例えば現金は資産のグループの科目で,借方の勘定科目になりますから,借方(左側)の一行目に前期繰越(ぜんきくりこし)と書き,その右の中央の縦線よりに期首の金額を記入します。他の資産の科目も同様です。(図B)
また買掛金などの負債のグループとなる科目は貸方の勘定科目ですので,貸方(右側)の一行目に前期繰越と書き,その右の端に期首の金額を記入します。
(c)売上や仕入などの収益や費用の科目は,次の年度に繰り越す金額はありませんので,前期繰越を書くことはしません。


3 取引の記帳

図Bの勘定に次の取引があった場合の記帳(転記)をして行きます。
① (借方) 現金 1,000 (貸方) 売上 1,000
② (借方) 仕入 2,000 (貸方) 現金 2,000
③ (借方) 現金 3,000 (貸方) 売上 3,000
④ (借方) 通信費 500 (貸方) 現金  500

図中の各勘定の①~④は上記の仕訳に対応しています。この番号はわかりやすくするために付けたものなので,実際に書く必要はありません。

① (借方) 現金 1,000 (貸方) 売上 1,000

これは現金販売の取引です。この仕訳は現金勘定の借方に1,000を,売上勘定の貸方に同じく1,000を記帳することを表しています。(図C)
まず借方を転記します。現金勘定の借方(左側)の前期繰越の次の行に相手勘定(貸方の科目)の「売上」と金額の1,000を記入します。
次に貸方を転記します。売上勘定の貸方(右側)の一行目に,相手勘定(借方の科目)の「現金」と金額1,000を記入します。
売上は収益のグループに属する科目なので,前期繰越はありません。
借方と貸方にともに1,000の記帳が完了したことを確認して①の転記は終了です。簿記の演習のためなので本来の帳簿と異なり日付や摘要の記入は適当に省略します。

② (借方) 仕入 2,000 (貸方) 現金 2,000

これは現金仕入の取引です。この仕訳は仕入勘定の借方に2,000を,現金勘定の貸方に同じく2,000を記帳することを表しています。(図D)
まず借方を転記します。仕入勘定の借方(左側)の一行目に相手勘定の「現金」と金額2,000を記入します。仕入は費用のグループに属する科目なので,前期繰越はありません。
次に貸方を転記します。現金勘定の貸方(右側)の一行目に,相手勘定の「仕入」と金額2,000を記入します。
借方と貸方にともに記帳が完了したことを確認して②の転記は終了です。

③ (借方) 現金 3,000 (貸方) 売上 3,000

この取引は①の取引と同じ種類で金額が異なるだけです。同様に転記します。(図E)

④ (借方) 通信費 500 (貸方) 現金  500

これは現金で切手代などの通信費を支払ったものです。
この仕訳は通信費勘定の借方に500を,現金勘定の貸方に同じく500を記帳することを表しています。(図F)
まず借方を転記します。通信費勘定の借方(左側)の一行目に相手勘定の「現金」と金額500を記入します。通信費も費用のグループに属する科目ですので,前期繰越はありません。
次に貸方を転記します。現金勘定の貸方(右側)のすでに記帳されている行の次に,相手勘定の「通信費」と金額500を記入します。
借方と貸方にともに記帳が完了したことを確認して④の転記は終了です。

転記が終了した勘定科目の残高の集計については次回に説明したいと思います。