簿記の基本(1)簿記とはどういうものか
簿記(ぼき)を初めて学ぶ方に役立つようなポイントを説明していきたいと思います。
1 簿記をマスターするための心構え
①簿記は最初に学ぶ基本的な仕組みを理解することが難しいので,何度が繰り返して読んでみましょう。
②独特な用語がたくさん出てきますが,しっかり覚えるようにして下さい。
③簿記は読むだけでは上達しません。実際に書いたり,計算したりする練習が必要ですので,問題をたくさん解くようにしましょう。
2 簿記とは何をすることか
簿記とは帳簿記入(ちょうぼきにゅう)の略とされています。帳簿(ちょうぼ)に記録していくことを記帳(きちょう)といいます。では何のために帳簿に記帳するのかというと,最終的には財務諸表(ざいむしょひょう)という決算書類を作成するためです。
財務諸表とは一年間でどれだけ儲かったのか,また決算(けっさん)の時点でどれだけの財産や負債があるのかをまとめた書類のことです。この財務諸表の作成は会計帳簿(かいけいちょうぼ)の記録に基づいて行われます。
適切な財務諸表を作成するためには,一定の方式に従って帳簿に記帳していく必要があり,この方式やパターンを学ぶことが簿記学習の中心になります。
3 簿記の目的
目的は一つではありませんが,繰り返しになりますが,最も重要なものは財務諸表(ざいむしょひょう)を作成することです。
○日常の業務 → 帳簿への記帳
○決算のときの業務 → 帳簿に基づいて財務諸表を作成
4 複式簿記と単式簿記
適切な財務諸表を作成するために,帳簿の記帳は複式簿記(ふくしきぼき)という方式で行われます。この複式簿記という方式で作成される帳簿として次の二つがあります。
○仕訳帳(しわけちょう)
○総勘定元帳(そうかんじょうもとちょう)
総勘定元帳がメインとなる会計帳簿で,ここには会社で生じた,すべての取引(とりひき)が記録されます。財務諸表というのは総勘定元帳の記録を元に作られるということになります。仕訳帳は総勘定元帳への記帳の準備段階として作成されるものです。
これとは別に,主に単式簿記の方法によって作成される補助簿という帳簿類があります。
○現金出納帳(げんきんすいとうちょう)
○売上帳(うりあげちょう),売掛帳(うりかけちょう)
○商品台帳(しょうひんだいちょう)
など
これらは,一つの目的に絞った個別の帳簿といえるもので,各会社の業務内容に応じて作成されます。形式や種類も様々です。
5 基本的な用語のまとめ
〇簿記(ぼき) 帳簿記入のことです。
〇帳簿(ちょうぼ) 取引を記録した書類のことです。
〇記帳(きちょう) 帳簿に記録していくこと。
〇財務諸表(ざいむしょひょう) 決算書類のことです。
〇仕訳帳(しわけちょう) 総勘定元帳に記帳する前の準備段階として行う仕訳(しわけ)を記したもの。
〇総勘定元帳(そうかんじょうもとちょう) すべての取引を網羅したメインとなる帳簿です。
〇会計帳簿(かいけいちょうぼ) 総勘定元帳のことですが,その他の補助簿を含めた帳簿全般を指すこともあります。
〇取引(とりひき) 事業所におけるモノの売り買いや経費の支払いといった経済活動。
〇補助簿(ほじょぼ) 総勘定元帳以外の帳簿類の総称です。
〇現金出納帳(げんきんすいとうちょう) 現金の入金,出金を記した補助簿の一つ。
〇売上台帳(うりあげだいちょう) 得意先ごとに販売した内容や,入金の状況を詳細に記した補助簿の一つ。売上帳,売掛帳,得意先元帳などの名称もあります。
〇商品台帳(しょうひんだいちょう) 商品をアイテムごとに入荷,出荷,在庫の数量を記録したものです。商品在高帳(しょうひんありだかちょう),在庫帳などの名称もあります。