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簿記や経理の基礎のおはなし

簿記の基本(9)総勘定元帳①

前回は複式簿記のイメージを簡単な例で説明しましたので,今回はもう少し具体的な総勘定元帳の記帳について説明していきます。

1 総勘定元帳

総勘定元帳(そうかんじょうもとちょう)は会社のすべての取引を記録したメインとなる会計帳簿で,各勘定科目ごとにページが設けれれており,それを一冊にまとめているものです。

電気代¥300を現金で支払うという例で説明します。前回では,複式簿記とはモノやお金の増減と,その要因の両方を同時にとらえて記帳していくものと考えるとわかりやすいと書きました。この電気代の例では現金が¥300減少し,その理由として水道光熱費が¥300増加した(発生した)ということになります。複式簿記ではその名のとおり,この2つがセットになるわけです。 

 現金    300 減少 

 水道光熱費 300 増加

次に実際の総勘定元帳で示します。

【現金】              

  日付   相手勘定    摘 要       借方   貸方   残高 

              繰越金額              1000

  5/15   水道光熱費  電気代×月分         300    700

水道光熱費】                   

  日付   相手勘定    摘 要    借方   貸方   残高 

  ××     ××       ××       ××         250

  5/15    現金    電気代×月分    300         550 

 

2 相手勘定と摘要

総勘定元帳は上記のような記入欄があるのが一般的です。この例では現金と水道光熱費の2つがセットになっているわけですが,このとき現金からみて水道光熱費を,水道光熱費からみて現金のことを相手勘定といいます。2つでセットといいましたが,もう一方の勘定科目のことです。摘要は取引の内容や説明です。実務的においては摘要欄は必要ですが,相手勘定は絶対必要というわけではありません。ただ相手勘定があると,それだけで取引の内容がすぐわかるので利用されることも多いです。

3 借方に書くか貸方に書くか

金額欄ですが,増加額や減少額を記録する欄が,借方と貸方となっています。右が貸方,左が借方なのは,貸借対照表損益計算書と全く同じで,これはすべての勘定科目に共通しています。

問題は,借方,貸方のどちらに書くかですが,これはすべての勘定科目に共通した基本原則がありますので,これを押さえておきましょう。

 借方の勘定科目(資産と費用のグループ,貸借対照表損益計算書で左側にある)

  →増加したときは借方,減少は貸方

 貸方の勘定科目(負債,純資産と収益のグループ,貸借対照表損益計算書で右側にある)

  →増加したときは貸方,減少は借方

増加する金額は借方の科目は借方に,貸方の科目は貸方に記帳します。減少はその反対側ということです。

今回の例を改めて示すと次のとおりでした。

 現金    300 減少 

 水道光熱費 300 増加

現金は貸借対照表の左に記載される資産のグループになりますので,借方の勘定科目です。ですから現金が増加したら借方に,減少したら貸方の欄に書くわけです。今回は減少しているので貸方に記帳します。

水道光熱費損益計算書の左に記載される費用のグループになりますので,こちらも借方の勘定科目ですね。よって増加したときは借方に,減少したら貸方の欄に書きます。今回は増加しているので,もちろん借方に記帳します。

4 残高

最後に残高ですが,現金も水道光熱費も借方の科目ですので,借方の金額は増加,つまりプラスとなります。貸方の金額は減少,すなわちマイナスです。現金では一つ前の残高1000から300を引いて,700となります。一方,水道光熱費では,一つ前の残高250に300を足して550になります。ここでプラスとマイナスを間違えると残高が合わなくなるので注意しましょう。

5 貸借の一致

ここであらためて現金と水道光熱費の帳簿を見て下さい。現金の勘定には貸方に300,水道光熱費の勘定には借方に300記帳されています。総勘定元帳のいずれかの借方と貸方に同額の金額が記帳されたことになります。これは偶然そうなったのではありません。複式簿記ではこのように帳簿の借方と貸方に同時に同じ金額を記帳していきます。貸借対照表損益計算書は総勘定元帳の記帳をベースとしています。帳簿の貸借に同じ金額を記帳していくという仕組みが守られているからこそ,貸借対照表損益計算書の貸借が一致することになるのです。